はじめに
コードリールは、家庭や工場、現場作業などで広く使われる便利な延長電源装置です。しかし、その使い方を誤ると、火災や感電といった重大な事故につながる可能性があります。特に「コードを巻いたまま使用する」ことは、見過ごされがちな危険行為の一つです。この記事では、コードリールの正しい使い方と、実際に起きた事故例を紹介しながら、その危険性について解説します。
コードリールとは?
コードリール(電工ドラム)は、長い電源コードを巻き取って収納できる装置で、持ち運びや保管が容易です。家庭用から業務用までさまざまな種類があり、電動工具や家電製品の電源供給に利用されます。しかし、使用方法を誤ると、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
危険な使い方:「巻いたまま使用」
- 発熱による火災のリスク:コードが巻かれた状態では熱がこもりやすく、長時間使用すると過熱して火災の原因となることがあります。
- 電気抵抗の増加:巻かれたコードは電気抵抗が増加し、電流が流れにくくなるため、過熱しやすくなります。
- 被覆の劣化:過熱によりコードの被覆が溶けたり、劣化したりすることで、ショートや感電の危険性が高まります。
これらのリスクを避けるためには、コードリールを使用する際には必ずコードをすべて引き出してから使用することが重要です。
実際にあった事故例
事例1:工場でのコードリール過熱事故
あるプラスチック成型工場で、作業台の下に置かれた電気ストーブが、30m巻きのコードリールを巻いたまま接続されていました。コードリールを触ると温かく感じられ、コードを引き出して確認したところ、内部のコードは長く触っていられないほど熱くなっていました。原因は、コードを巻いたまま使用したことによる過熱でした。幸い火災には至りませんでしたが、適切な使用方法の重要性が再認識されました。
事例2:北海道でのコードリール火災事故
2018年11月、北海道でコードリールを巻いたまま使用し、布団乾燥機2台と電気除湿器2台を接続した結果、コードが異常発熱してショート・スパークし、建物を半焼する火災が発生しました。コードリールの定格電流を超える使用が原因とされています。
正しい使い方とチェックポイント
- コードはすべて引き出して使用する:巻いたまま使用せず、必ずコードを全て引き出してから使用しましょう。
- 定格電流を確認する:コードリールには、巻いた状態と引き出した状態で異なる定格電流が設定されています。使用前に必ず確認し、定格を超えないように注意してください。
- 過負荷を避ける:接続する機器の合計消費電力がコードリールの許容範囲内であることを確認しましょう。特に、電気ストーブやドライヤーなどの高消費電力機器を同時に使用する際は注意が必要です。
- 定期的な点検を行う:コードの被覆に損傷がないか、プラグやコンセント部分に異常がないかを定期的に点検し、異常があれば使用を中止してください。
よくある誤解とQ&A
Q1:短時間なら巻いたままでも大丈夫ですか?
A1:短時間であっても、コードリールを巻いたまま使用することは避けてください。過熱のリスクは使用時間に関係なく存在します。
Q2:屋外で使用する場合、防水性は大丈夫ですか?
A2:屋外で使用する際は、防水性のあるコードリールを選び、接続部分が水に濡れないように注意してください。また、使用後は乾燥させてから収納しましょう。
まとめと安全意識の呼びかけ
コードリールは便利な道具ですが、使用方法を誤ると重大な事故につながる可能性があります。特に「巻いたまま使用する」ことは、過熱や火災のリスクを高めます。正しい使い方を守り、定期的な点検を行うことで、安全に使用することができます。家庭や職場での電気安全に対する意識を高め、事故を未然に防ぎましょう。