古民家に住んでいる人は、古民家が好きとは限らない
——「リアルな暮らし」の中にある本音
「古民家暮らし」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、どこか懐かしくておしゃれにリノベーションされた空間。落ち着いた照明、木の温もり、統一感のあるインテリア——そんな“理想の古民家像”を思い浮かべるかもしれません。
でも、実際に古民家に住んでいる人の多くは、そういった理想を追いかけてその家を選んだわけではありません。むしろ、「昔からそこに住んでいたら、気がつけば古民家と呼ばれるようになっていた」というのが現実です。
私が住んでいる家も、古民家と呼べるくらいに古い家です。今回は私の雑感も踏まえて、古民家暮らしのリアルな実情をお話ししていきます。
雰囲気のための照明ではなく、実用のための照明
古民家は総じて暗い。壁や天井の色、間取り、窓の位置——どれも現代の住宅に比べて光が入りにくい構造になっています。だからこそ、そこに住む人たちが求めているのは、空間を演出するようなおしゃれな照明ではなく、手元や足元をはっきり照らしてくれる“実用のための明かり”です。
加えて、古民家と呼べるほど古い家には、そもそもコンセントが少ないという現実もあります。私の家も、照明の位置は限られており、廊下や押し入れの中などは常に薄暗いまま。部屋の照明はスイッチがついてないので、ひもで入り切りするか、最近の照明ならリモコンで入り切りします。リモコンを柱に取り付けて、スイッチ代わりにしています。
また、エアコンの普及前に建てられた家が多いため、エアコン用のコンセントがないこともあります。そうなると、明かりや暖房の設置ひとつとっても、現代の生活に合わせるには一苦労。照明器具に求めるのはデザイン性ではなく、「安くて、とにかく明るいこと」。そんな切実なニーズが、古民家の暮らしにはあります。
不便だけど、なんだか気に入っている
もちろん、古民家ならではの不便さ——冬の寒さ、隙間風、収納の少なさなど——に悩まされることもあります。でも不思議と、それも含めて「まあ、悪くない」と思える。新築のような快適さはないけれど、長く住んでいるうちに、そうした不自由さもひとつの個性として愛着に変わっていくのかもしれません。
家具や家電も、最新のものと昔ながらのものが入り混じった空間。古民家カフェのような洗練された統一感はないけれど、その「なんだかチープ」な雑多さに、どこか落ち着きを感じる人もいるのです。
まとめ:古民家にあるのは“雰囲気”ではなく“生活”
古民家に住んでいるからといって、みんなが古民家ファンというわけではありません。そこにあるのは、毎日の暮らしと向き合いながら、少しずつ家とともに歳を重ねてきた人々の時間です。
おしゃれな古民家像にばかり目を向けるのではなく、その裏にある「リアルな暮らしの風景」にも、もっと想像を巡らせてみると、新たな気づきがあるかもしれません。


